「歯の中に歯がある」と聞くと、少し不思議に感じるかもしれません。しかし、実際にそのように見える歯の形の異常があり、「歯内歯(しないし)」と呼ばれています。
英語では "dens in dente" といい、ラテン語で「歯の中の歯」という意味です。
歯内歯は、歯が作られる発育の過程で歯の表面をつくる組織が内側に折れ込むことで生じると考えられています。
その結果、歯の内部に袋状のくぼみや溝のような構造ができ、レントゲン写真ではまるで歯の中にもう一つ歯があるように見えることがあります。
この特徴的な像からこの名前が付けられました。
歯内歯はそれほど多いものではありませんが、研究によっては数%程度の人に見られると報告されています。特に上の前歯の中でも、側切歯と呼ばれる歯に多く見られることが知られています。
外から見たときの変化は小さく、歯の表面に少しくぼみがある程度で、本人が気づかないことも少なくありません。
しかし、このくぼみは細菌が入り込みやすく、通常の歯よりもむし歯になりやすいという特徴があります。
場合によっては比較的若い年齢で歯の神経に炎症が起こることもあります。
そのため、歯内歯が疑われる場合には歯科医院での詳しい診査が大切です。
レントゲン写真で内部の構造を確認し、必要に応じてくぼみを封鎖する予防処置などを行うことで、トラブルを防げることが多くあります。
歯の形は一人ひとり少しずつ異なります。歯内歯のような珍しい特徴も、定期的な歯科検診によって早く見つけることができます。
自分の歯の個性を知り、適切にケアしていくことが、長く歯を守ることにつながります。