指しゃぶり


 子育てをしているお母さん、お父さんにとって、気になる癖のひとつがお子さんの「指しゃぶり」ではないでしょうか。「早く止めさせるべき」「多くの子供がしているし問題ない」「歯並びが悪くなる」「欲求不満の表れ」・・・いろいろなことがいわれているようです。本当のところはどうなのでしょうか。
指しゃぶり 子供は、乳児期の2~3ヶ月頃から、口のそばにきた指や物を捉えて無意識に吸うようになり、このころから指しゃぶりをする子が多くなります。生後4~5ヶ月となると手を思うところに動かすことができるようになるので、口に持って行く回数が増え、それにつれて指しゃぶりも増えてきます。
これは、目と手の協調運動の学習ととも、一番敏感な唇でいろいろな物をしゃぶって形や味,性質や状態を学習していると考えられています。このようなことから、この時期の指しゃぶりは発達の一過程だといえます。

  成長とともに歩けるようになり、おしゃべりを口で、遊びで手を使うようになると、昼間の指しゃぶりが少なくなってきて、退屈なときや,眠いときにのみ見られるようになってきます。
 2~3歳くらいになっても、指しゃぶりが習慣化してしまってやめられない場合があります。この場合でもやがて、保育園や幼稚園で友達と遊ぶようになり、社会牲が発達するにつれて自然に減少するので、あまり心配する必要はありません。ただし、1日中頻繁に指をしゃぶっている、吸い過ぎて指の皮がめくれたり、化膿したりしている、といった場合は医師に相談しましょう。
 4~5歳を過ぎ、さらにそれ以上の年齢になっても、指しゃぶりが止まらない場合、この時期になって再発した場合、などは要注意です。まずは、かかりつけ医とよく相談してください。過干渉や放任といった親子関係の問題や、遊ぶ時間が少ない、退屈といった生活環境の問題が影響している可能性もあるので、心理の専門家に相談する必要が出てくることもあります。

 歯に対する影響です。指しゃぶりをする子供は、出っ歯や開咬(上下の前歯の間に隙間があいて前歯が噛み合わない)の傾向が見られます。これらにより、発音や嚥下の障害、口元の突出、口呼吸、顎発育への影響などが懸念されます。2~3歳であれば、この傾向があっても、乳歯から永久歯に変わるときに改善することが多いとされています。しかし、4歳以上になると、顎の骨格に影響を及ぼして、永久歯列の開咬を起こしやすくなります。

  やはり4歳くらいまでに指しゃぶりを止めるようにすることが、歯科の視点からも情緒的な面からも良いといえます。