噛む力と栄養素
一般に高齢になると、油っぽいもの、かたいものを避けるようになり、
タンパク質豊富な肉や魚を避け、やわらかく食べやすいごはんやパンなどの炭水化物を多く摂る傾向にあります。
それに加えて、むし歯や歯周病の治療がされていなかったり、抜けてしまったあとを放置しておいたり、または入れ歯のかみ合わせがしっくりきていない…といったことが原因となって、
思い切り噛めなかったり、噛むと痛いところがあったりすると、噛み応えのあるかたいもの…肉・魚介類や緑黄色野菜、根菜類など…より、やわらかくて摂取しやすい食べ物を好むようになります。
その結果、
糖質過多になりやすく、血糖値のコントロールが難しくなります。
ほかにも根菜などは、かなりやわらかくしないと食べられないため、
食物繊維が不足しがちになります。ご存知の方も多いと思いますが、食物繊維が不足すると便秘になりやすくなります。
加えて、深刻なのがタンパク質不足です。
タンパク質摂取量が減ると、筋肉量が減って体力や免疫力が低下してしまいます。摂取量低下によって赤血球を作る材料が減少し、肉類に多く含まれるビタミンAの不足と併せて貧血の原因となります。
また筋肉や骨の減少により運動機能が低下し、
骨折のリスクが高まり、疲れやすくなります。
感染症にも罹りやすくなることは言うまでもありません。
このように噛む力が低下した人は、炭水化物を中心にカロリーの充足はできるものの健康維持に必要なタンパク質やビタミンなどの栄養素の摂取が不足しがちであることがわかってきて、改めて
噛む力と栄養摂取の関係が注目を集めています。
健康な歯を維持して心置きなく噛める方は、噛む力ということを意識して、維持につとめてください。
また、今は十分に噛めない方でも、
治療されずに放置している歯は入れ歯を作るなど治療すれば、噛めるようになります。一度、歯科医院に相談されてはいかがでしょうか。