特定健診と歯科

 「生活習慣病は、一人一人が、バランスの取れた食生活、適度な運動習慣を身に付けることにより予防可能です。
ご自身の健康状態を毎年確認し、健康づくりにつなげていくことが重要です。1年に一度、特定健診を受診し、生活習慣の改善が必要な方は、特定保健指導を受けましょう。特定健診は日本人の死亡原因の約6割を占める生活習慣病の予防のために、40歳から74歳までの方を対象に、メタボリックシンドロームに着目した健診を行います。」とは厚労省のHPのなかの一文ですが、この特定健診の際の「標準的な質問票」(問診票のようなもの)のなかに、肥満や血圧、運動、心臓病、脳卒中などの質問に加えて、歯科や食に関する設問が含まれています。

 具体的に見てみると、最近追加された項目で「食物をかんで食べるときの状態」についての設問があります。答えの選択肢は、
・何でも噛んで食べることができる、
・かみ合わせなど気になる部分があり、噛みにくいことがある、
・ほとんど噛めない となっています。
噛みにくい人や噛めないと答えた人は、十分に咀嚼できないほか、糖分や脂分を多く含んだ軟らかい食べ物を多く摂るようになり、むし歯のほか、肥満や糖尿病、高血圧のリスクを高めています。ビタミン・ミネラル・食物繊維などからだに必要な栄養も不足がちになります。
ほかの設問では、「習慣的な喫煙」「食べる速度」「間食や甘い飲み物の摂取」があります。
「喫煙」はがん、呼吸器・循環器の疾患、糖尿病、などのリスクのほか、歯周病のリスクも指摘されています。
「食べる速度」については
・「速食い」が脳が満腹感を感じる前にたくさん食べてしまい過食→肥満になりやすい、
・噛む回数が少なくなるので、唾液の量が減って、お口の中の洗浄効果が十分でなくなり、虫歯や歯周病になりやすい、
などが指摘されています。
「間食」はむし歯のリスク、肥満のリスクが高まるのはご存じのとおりです。ダラダラ食いは止めましょう。

 特定健診の結果から、生活習慣病の発症リスクが高く、生活習慣の改善による生活習慣病の予防効果が多く期待できる方は、専門スタッフのサポート(特定保健指導)を受けることができます。
 お口まわりに関するこれらの項目については、「メタボ」と「歯科疾患」の両方の側面があるので、歯科医療機関のサポートを受けるのも選択肢の一つかもしれません。